当時記録を残していなかったとき:取り戻せるのは「起きたこと」で、「当時の状態」は取り戻せない
このサイトでは十数本の記事が「あとからは取り戻せない」と書いています。その言葉は正しいのですが、半分だけです。たしかに補えない種類のものがある一方で、別の種類のものは実はまだ他人のシステムの中に残っています。
まず、どの種類が取り戻せないのかを分ける
取り戻せないのは「当時の状態」です。壁のあの傷は入居時にあったのか、車を返したときはどんな様子だったのか。これには当時の写真が必要で、今撮った写真が証明できるのは今のことだけです。
しかし、もう一方の種類は通常取り戻せます。その出来事があったこと、それが何日だったか、相手が誰だったか、です。この種類の記録はたいていあなたの手元にはなく、他人のシステムの中にあります。
他人があなたの代わりに残してくれた記録から探し始める
あなたは当時記録しませんでしたが、多くのシステムが記録しています。次のような場所をさかのぼれば、多くの場合、時系列を復元できます。
- 実際にできること
- email とメッセージ:相手の名前やキーワードで検索し、記憶だけに頼ってさかのぼらない
- 通話履歴:日付と通話時間から、「あの日に話した」ことを裏づけられる
- 口座の引き落としや送金の記録:金額と日付はたいていいちばん正確
- 注文、領収書、確認メール。当サイト(お金のサイト)には、支払いの証憑をどれくらいの期間、どの種類を残すかについての別の記事があります。
- カレンダーに入っているその予定
今から1通書き、あとから書いたものだと明記する
まだ覚えていることを書き留めます。日付、場所、その場にいた人、話した内容、当時自分がどう理解したか、です。書き終えたら、いちばん上に「これは○年○月○日に思い出して書いたものです」と明記します。
正直に明記することは、当時書いたかのように装うことよりも大切です。あとから書き足したと明記された記録はそれでも役に立ちますが、当時書いたものではないと発覚した記録は、ほかの部分まで疑われることになります。
いちばん早い一歩は、相手に一度文字で確認してもらうこと
メッセージか email を送ります。「あのとき話したのは○○だったと記憶していますが、あなたの理解と同じでしょうか」。相手が返信したその瞬間に、口頭のものが書面のものに変わります。
当サイトには、互いに同じ事柄について話しているかを確認することについての別の記事があります。その記事の3つの方法は、ここでも使えます。気をつけたいのは尋ね方です。「あなたの理解と同じでしょうか」と尋ねるほうが、「あのときこう言いましたよね」と尋ねるよりも返事をもらいやすくなります。
今日から、その種類の場面では違うやり方をする
補い終えたあとの本当の収穫は、自分がどの種類の場面で記録を残し忘れるのかがわかったことです。その種類こそ、これから特に対処すべきものです。
当サイトには、証拠として写真を撮るときにどう撮れば役に立つのかについての別の記事があります。当サイト(賃貸サイト)には、大家とのやり取りはできるだけ文字で残すことについての別の記事があります。当サイトには、重要書類のデジタルバックアップをどう作れば確実なのかについての別の記事があります。1つを選んで今日から始めてください。3つを同時に始めないことです。
この記事の範囲
この記事で扱うのは、記録を整理し復元する方法です。いかなる証拠の効力や採否の基準についても述べず、いかなる記録がいかなる手続きで役に立つかどうかも判断せず、いかなる争いについても判断せず、法的助言にもあたりません。
権利や争いに関わる場合は、資格のある専門家に相談してください。
ポイント
取り戻せないのは「当時の状態」で、それには当時の写真が必要です。しかし「その出来事があったこと、何日だったか、相手が誰だったか」は、通常まだ他人のシステムの中に残っています。email、通話履歴、引き落としの記録、注文、カレンダーをさかのぼってください。今から1通書き、あとから思い出して書いたものだと明記します。正直に明記することは、当時書いたかのように装うことよりも大切です。いちばん早い一歩は、相手に一度文字で確認してもらうことです。「話したのは○○だったと記憶していますが、あなたの理解と同じでしょうか」。